更新年月日・2014年6月13日




「布の修繕」の話から

ある対談集を読んでいたときに、時代を経て傷んだ文化財の布の修繕について、語り合っている箇所が心にとまりました。すでにご存知だった方もいらっしゃるかと思いますが、「布の修繕をするために、後から新しい布を足す場合、古くなった布よりも強度の高い布を使ってはならない」という内容の話です。なぜ修繕するのに強い布を使ってはいけないのか、それは、その時にはきれいに修繕されたように見えても、強度の高い布は、知らず知らずのうちに他の布に負担をかけることになり、皮肉なことに、修繕したことにより、結果的に布全体に負担がかかり、傷みが進んでしまうことになるのだそうです。つまり、修繕するものとされるものとの力関係には、差があってはならないということです。

なぜ、そのような話が心にとまったのかと言いますと、それは、この話が、学校教育においても大いに注目されている、「カウンセリング」に関する話題の中で触れられたエピソードだったからです。対談者の一人は、人を助けることの使命感に燃えている人が、誰かの手助けをと思って一方的に動いた場合、力関係に差がありすぎて「助けられるほうはたまったものではない」というコメントを加えていました。

何やら耳の痛い話ではありますが、日頃私たちが大切にしている「支援」という取組においても、同じことが言えそうです。

支援とは、あくまでもそれを求めている人が主役で、支援者は脇役に徹しなければならないわけですが、ともすると、「ああしてあげたい」「こうするべきだ」という支援者からの思いが強すぎて、求められていない支援まで提供し、当の主役が立ち往生してしまうことがあります。

支援を求める者と支援する者が、同じ力関係でいることは難しいと思いますが、「何事もバランスが大切」という言葉に置き換えれば、この布の話は、学校教育にとどまらず、全ての人間関係にも当てはまるのではないでしょうか。

新年度がスタートしてから2ヶ月、大人も子どもも少し疲れが出る入梅時です。お互いに少し肩の力を抜いて、この「布の修繕」の話に、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

                                   (副校長  田所 健司)


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