更新年月日・2017年3月8日




「本当に豊かな人生」を

今年度も卒業式の季節が近づいて来ました。

3年前、6年前にそれぞれ本校の小学部・中学部・高等部に入学した子ども達が、それぞれに門出の時を迎えています。とりわけ、高等部(本校・分教室)を卒業していく生徒の皆さんは、学校生活を終えて、いよいよ4月から社会人としての生活をスタートさせることになりますが、私の願いは、卒業生の皆さんが、一人ひとり「豊かな人生」を歩んで行ってほしいということに尽きます。

さて、この文章をお読みいただいている皆さんは、「豊かな人生」という言葉から、どんなことを思い浮かべられますか。

先日、あるスポーツの世界を制して、世界ランキング1位のまま引退した選手のインタビュー記事を読みました。引退後もなぜ現役時代と同じようなトレーニングをし続けるのか、というインタビュアーの質問に対して、その人は、「トレーニングしなければ自分が自分でなくなってしまうから」と答えていました。そして「今でも負ける気はしない」と。

私は、正直なところ大変驚きました。その記事は、今でも現役ならば誰にも負ける気はしないというその人の「強さ」を讃えるようなまとめ方で終わっていたのですが、読み終えた私の感想は、正反対のものだったからです。「世界一にまで上り詰めた人の気持ちが、そんなに脆弱なものだったとは。」というのが、私の感想でした。もちろん「強さ」に関する定義は、人それぞれですが、私の想定していた「強さ」は、引退後、確実に衰えていく自分を素直に認めて、元チャンピオンという過去の栄光にはすがりつかない、ありのままの自分でいる生き方に到達することを目指すこと、という勝手な思い込みでした。

そこで、「豊かな人生」の話に戻ります。私の考える「豊かさ」とは、ありのままの自分を認め、無理をせず、人にも無理強いをせず、周囲の人達と支え合いながら、自分らしくあること、「できること」を大切にしながらも、「できない」ことからも逃げずに受け止められること、言い換えれば「しなやか」であることです。

「〜でなければだめ」という考え方で、自分や他人を責めないで生きていける人生こそ「豊かな人生」だと、私は思うのです。


平成29年4月、社会へ旅立つ皆さんに「本当に豊かな人生」が待ち受けていますように。

卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。


                                         (校長  田所 健司)



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